君の調子はどう?君の調子はどうだい? 前編

2017年も、もうすぐ終わりそうな12月。

 

岐阜にライブを見に行く車中でふと、

5年前の記憶が蘇ってきたから綴る、

ノンフィクションのような

フィクションの出来事。

 

雨ばっかでうっとうしい6月。

君と出会ったのは写真を撮ってたから。

まだまだ下手くそな写真を

君はすきだといい。

 

それに調子に乗って君を撮り始めた。

 

写真を、撮りはじめると

夏の終わりには、

一緒に出かける機会も、多くなって

当たり障りのない

 

色々な話をドライブしながらして。

 

2人だけで楽しんでた撮影。

笑ってる写真はなんか好きじゃないの。

時たま難しい要求をしてくる君。

でも色々な表情が撮れるのがたまらなく

嬉しくて。

 

そうなると写真なんかより

君のコトに興味が出てきて。

 

僕は君の、気になる人になりたくなる。

 

どんなバンドすきなの?

 

【えー。なんだろなー。最近だとシネマスタッフとかかなー?!知ってる?】

 

 

知らないなんて言えないから、

とりあえず知ったフリして

 

次の日TSUTAYAいったらレンタルなんかされてない。

 

そのままタワレコ行って

バイト代で買ったCD一枚

 

家に帰って聞いてもなんか、暗いような。

 

でも、これが君の好きバンドなんかと思うと

好きになるしかないよなーって思いながら

歌詞カード見てとりあえず何回も聞いてたら

 

好きになる気がして

メールでシネマスタッフ歌詞いいよねー

 

って送って君からの返事待つ日々が続き

 

撮影の予定立ては

 嫌な顔せずに僕の写真に写ってくれる。

 

そんなある日シネマスタッフが岐阜で

ライブやるって知った僕は

とりあえず黙ってチケット2枚買った。

 

『11/23日空いてる?』

 

【撮影ー?休みだけど昼バイト入ってるんだよね】

 

『いや、シネマのライブ行かない?』

【うーん。予定見てみるー】

 

 

あれ、なんか思った反応と違う。

 

行きたいー!って返ってくると思ったのに。

 

 

この意味が分かるのは

年明けてからになるなんてのは

この時分かるわけもなく。

 

そっから2週間返事もこない。

 

 返事が来ないのは今に限った事じゃない。

少しヤキモキしながらも待つ事は沢山あった。

 

 

その時の僕は付き合ってる歳上の彼女がいた。

付き合ってもう3年。

この話はいつか今度にでも。

 

あの子から返事が来ないなら彼女と遊ぶ。

けど、やっぱりなんとなく気になる。

 

そんなライブ1週間前

チケットそろそろ売らないとなって

思ってた矢先に。

 

【ごめーん。まだシネマのチケットある?売っちゃったよねー?】

 

『いやまだあるよ。どーする?』

 

【いく。】

 

待ったかいが、あったってのはこの事。

 

でもこの時は彼女との約束あって。

 

破る簡単に

 

素敵な魔法の言葉

 

急に仕事入っちゃったわ。

クリスマス穴埋めするからごめん!

 

3年も付き合ってるならお互い急な用事も

あるし記念日的なものでもないから

 

簡単にいいよ。って返ってくる。

 

正直この頃はなんか彼女に対しての

罪悪感なんてものは、薄れてきてる。

好きじゃないわけじゃないけど

 

人間刺激を、求めてしまうよな。

って勝手な言い訳してさ

 

『じゃあバイト終わったくらいにいつもの駅でいい?』

 

【いいよ。待ってるね。】

 

いつもの時間

 

いつもと変わらない待ち合わせ場所

 

コンビニもない駅

 

ロータリーから

君が来るのは分かったけど

あえて車の中で待ってる

 

【久しぶり。返事遅くてごめん。】

 

『いいよ、久しぶり。行こっか!』

 

高速を、走らせていけば

大体1時間くらいで着く

 

車内はもちろんあの時買ったシネマスタッフ

 

この曲やるかな?って話しながらの久々の会話

 

でもこんな時に限って高速道路は渋滞

 

【間に合うかなー?】

 

多分大丈夫だと思うよーって答えながら

全然進まなくなる

 

会話も、減って、なんか重い空気。

これはマズイなって事で下道に乗り換え

 

ライブハウスを目指す。

ライブ見たいってのより君を悲しませたくない

一心で。

 

後編に続く。